相続が発生した時の手続きの流れ
相続手続きの詳細
(1)相続人が誰かを確定・戸籍謄本等の取得
- 預貯金の解約や不動産の登記等、相続手続きには、相続人を確定するために、戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
- 相続人を確定させるためには、下記が必要です。
- 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍
- 相続人全員の現在戸籍
- 子供がいない場合は、故人の両親の出生から死亡までの戸籍
- 戸籍謄本は、死亡されたことが記載された戸籍謄本だけではなく、出生から死亡まで全ての戸籍謄本が必要なため、取得に時間がかかることがありますので、早めに取りかかることをおすすめします。
- 「思っていたよりも難しい。時間がかかる」、「集めはじめたけれど、途中であきらめてしてしまった」という話をお聞きすることがあります。しかし、戸籍謄本を取得して相続人を確定しないと、相続手続きを次へ進めることができません。
- 特に、下記に当てはまる場合は戸籍の取得に多くの時間がかかります。注意しましょう。
- 本籍地を何度も異動しており、複数の市区町村役場での取得が必要。
- 子供がおらず、亡くなった方の両親の出生から死亡までの戸籍も取得が必要。
- 代襲相続(※)や数字相続(※)が発生しており、本来相続人となるはずだった方の出生から死亡までの戸籍、代襲相続人の現在戸籍も取得が必要。
- 「相続人全員の現在戸籍」については、各相続人の本籍があるそれぞれの市区町村役場で取得することになります。 相続人が遠方にお住まいの場合等は、各相続人に現在戸籍の取得を依頼しなくてはいけないケースも出てきます。
代襲相続:本来相続人となるはずだった方が、死亡・廃除等された場合に、その子供が、その相続分を受け継ぐこと。(民法第887・901条)
数次相続(すうじそうぞく):被相続人の相続が開始したあと、「遺産分割協議」や「相続登記」を行わないうちに相続人の1人が死亡してしまい、次の相続が開始されてしまうことを言います。
(2)遺産や債務の調査、把握
次に取り掛かるのは、「遺産や債務の調査、把握」です。
遺産について
- 遺産の中に預貯金がある場合、お手元の通帳の内容を確認したり、証券会社からの運用報告書、保険会社からの手紙等から相続財産を特定していきます。
- ネット銀行は通帳がありませんので、パソコンのブックマークを調べたり、口座開設の際の書類をどこかに保管していないかを調べたりする必要があります。
- 相続税の申告がある場合には、通帳を確認したり、残高証明書を取得するなどして、相続財産の種類と金額を明確にしておく必要があります。
- 不動産についても、権利証(登記識別情報)を確認したり、市区町村役場から固定資産税評価証明書や名寄帳を取得するなどして、土地や建物を特定しておく必要があります。
預貯金等の把握が漏れると、遺産分割協議の話し合いにも影響する恐れがありますので、通帳や金融機関からの郵便物等、手がかりがないか事前に家の中をよく探しましょう。
債務について
- 亡くなった方が借金をしていたかどうかを調べる方法としては、まずはキャッシング用のカードなどがないか調べることです。また、リボ払いにより借入れの支払いをしていた場合、毎月の支払いが止まるので、督促状がくるはずです。
- 金融機関からの借り入れについては、情報が「信用情報機関」に登録されます。
信用情報機関というのは、下記の3ヵ所です。- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
これらの信用情報機関で情報の開示請求を行うと、亡くなった方の、金融機関からの債務を調査することができます。
(3)遺言書の有無を確認する
亡くなった方は遺言書を遺してましたか?
遺言書にはいくつかの種類があり、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」です。
遺言の種類によって、手続きが変わります。
- 自筆証書遺言
遺言者自身が自筆で作成した遺言。 - 公正証書遺言
遺言者が、公証役場で公証人に作成してもらった遺言。
平成元年以降に作成された遺言については、公証役場で検索することができます。
亡くなった方が公正証書遺言を遺されている可能性がある場合には、亡くなった方との関係を証明する戸籍謄本と、運転免許証などの身分証を持って、お近くの公証役場で検索を依頼してみると良いでしょう。 - 秘密証書遺言
遺言者が遺言内容を誰にも知られたくないという場合に使われています。
2020年7月10日から、自筆証書遺言を法務局で保管をすることができるようになりました。亡くなった方が遺言を作成していた可能性がある場合は、遺言書が預けられているかを確認しましょう。
相続発生後の自筆証書遺言の交付請求は、全国のどの遺言書保管所でも可能です。また、法務局で保管されていた自筆証書遺言は、検認が不要となります。
(4)自筆証書遺言や秘密証書遺言の検認
公正証書遺言以外の方法で作成された遺言書については、遺言を執行する(遺言書通りに相続手続きをする)前に、遺言書を家庭裁判所に提出して検認の手続きをしないと、名義変更などの各種相続手続きに使用することができません。
検認の目的は、「後日の偽造や変造を防止し、その保存を確実にすること」なので、検認の手続きの中で、遺言書が有効か無効かの判断がなされるわけではありませんのでご注意ください。
(5)相続放棄・限定承認・単純承認の選択
- 相続放棄や限定承認を行う場合には、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
- 相続放棄
相続放棄:相続人が被相続人のプラスの財産やマイナスの財産を一切引き継がないということ。家庭裁判所に相続放棄の申述をして受理されれば、最初から相続人ではなかったことになり、他の相続人の相続分は、放棄者が初めからいなかったものとして算定される。 - 限定承認
被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、財産が残る可能性もある場合等に、相続人が相続によって得たプラスの財産の限度で被相続人のマイナスの財産の負担を引き継ぐということ。家庭裁判所に共同相続人全員で限定承認の申述をする必要がある。相続放棄者は含まない。 - 単純承認
相続人が被相続人のプラスの財産やマイナスの財産の権利義務をすべて引き継ぐということ。相続放棄や限定承認を行わなかった場合、又は相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときには、単純承認をしたものとみなされる(単純承認には、特別な手続きは不要)。
(6)相続人全員で遺産分割協議を行う(遺言書が無い場合)
- 相続財産の調査、把握が終わったら、遺言書のない場合、遺産分割協議を実施します。遺産分割協議というのは、共同相続人全員で遺産の分け方について話し合いをして、故人の財産をどのように分けるのかを合意することです。
- 遺産分割協議が成立したら遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には相続人全員の署名・押印が必要です。
(7)遺産の名義変更や解約の手続き
- 取引のあった銀行や証券会社等の取引について、解約や名義変更の手続きを行っていきます。
- 金融機関ごとに手続書類(相続手続依頼書)が異なります。一般的には、手続書類には相続人全員の署名と押印が必要になりますので、金融機関ごとに異なる書類一枚一枚に、相続人全員が署名しなければなりません。
故人の取引金融機関の数が多ければ多いほど、解約手続きも手間と時間を要することになります。 金融機関に行く時間や、相続人間で書類をやりとりする時間を確保できるよう、スケジュールを確認しておきましょう。 - 故人が不動産をお持ちだった場合は、不動産の相続登記が必要です。 不動産の相続登記は、不動産の所在地を管轄している法務局で行います。
(8)相続税の申告及び納付(10ヶ月以内)
- 相続財産が「基礎控除額」を超えるようであれば、相続税の申告、納付手続きが必要になります。
- この相続税の申告手は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。
配偶者控除などの各種控除を受けるためには、遺産分割協議がまとまっている必要がありますので、10ヶ月というのは長いようですぐに経ってしまうので、早い段階から準備しておく方が良いでしょう。
まとめ
相続に関する主な手続きの流れというのは、以上になります。
いかがでしょうか?
人生のなかで、相続手続きを何度もするものではありませんので、経験がほとんどない方が多いのが実情です。
また、仕事や家事でお忙しい方、遠方にお住まいの方、ご高齢の方にとっては、限られた時間内で役所や金融機関を回ったり、相続人全員と書類のやりとりをすることは、とても負担になるでしょう。
そこで、行政書士大橋浩一事務所では、ご負担の多い「相続手続きを代行する業務」を取り扱っています。
行政書士大橋浩一事務所の「相続手続き代行業務」ってどんなもの?
Q相続手続き代行業務では、何をしてくれるの?
A相続手続き代行業務では、戸籍謄本の取得、金融機関の相続手続き、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更などの相続手続きについて、司法書士事務所と連携しながら行政書士大橋浩一事務所が代行します。
Q相続税がかかる場合の申告はどうすればいいの?
A相続税の計算・申告手続き等は税理士業務にあたりますので、税理士の紹介をさせて頂くことでお手伝いをさせていただきます。
Q料金ってどのくらいなの?
A料金は、財産額により変動いたしますが、「最低報酬は77,000円(税込)から」となっています。その他戸籍謄本や不動産登記簿謄本の取り寄せ費用、預貯金の残高証明書取得費用、不動産登記費用等の実費がかかります。 当所報酬や実費等が故人の預貯金から差し引かれた後に、遺産分割協議書に書かれた分け方で配分されます。
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